思い出とOutputと僕と

「重力ピエロ」を読み終えて

今回初めて伊坂幸太郎の小説を読んだ。直近までは雫井脩介を呼んでおり個人的な意見として彼は文中の比喩表現などで魅せるのではなくストーリーや登場人物への感情移入が上手い作家だと思う。対して伊坂幸太郎は序盤から読者を考えさせるような表現や比喩が多く一つの小説として綺麗だと感じた。しかしながら彼の小説を読み進むにつれて自分の読解力や教養が足りないとひしひしと感じた。最後にもあるように多くの書籍を引用しておりこの「重力ピエロ」を本当の意味で読めるようになるにはあとどのくらいの時間がかかるのだろうか。
この小説は主に家族愛が描かれた一冊だ。泉が生業としているものを否定することなく要所で春の心を繋ぎ止めるような一言を遺す父親と出産という大きな選択をした母親の大きな愛情が彼ら二人の兄弟を作ったと思う。また終盤まで春を異常者として見てしまっていた自分を改めさせられる一冊でもあり、行動や結果だけで見るのではなくその理由までしっかりと汲み取って判断しなければと感じた。