直近では翔ぶが如く
を読んでいたが一巻を読み終えたタイミングで積読していた何者
を手にとった。
序盤は主人公の拓人に共感する部分が多く、自分を重ねていた。 客観的に物事を見たがる節やちょっと斜に構えている自分がかっこ悪いところなどだ。 そのためラストの里香の拓人への教えは非常に喰らった。外出先で読み終えたが帰路では経験の少ない車酔いのような感覚に陥った。 何者かになれると自己愛が強く、何者にもなれていない現状でその自分を保つ拓人に自分を重ねた。 はたして自分は何者かになれているのだろうか。いや、何者かになる必要はあるのか。
また、瑞月さんが放った隆良への言葉も響いた。人生とは同じ目線で見る人が変わっていくもの。 もうすぐ社会人として独り立ち間近であるが、ここまで来てしまったら過程なんて見てくれる人はいない。 だからどんな形でもどんなクオリティでも点数をつけてもらうことが大事なんだ。
本書では登場人物が二極化していると感じた。 主人公の拓人や隆良を筆頭にすごく現代の人間くさく自分を保つのに必死な人物らと、 サワ先輩や瑞月さんなど自分を受け入れて、他人も受け入れる人物らだ。 自分はどちらに属すのだろうか。 そもそもその境界線ははっきりとしているのかも分からないが、心から他人を受け入れるにはまず自分を受け入れなければいけない気がする。
主人公と類似していると感じる点が多く、こんなにも喰らった本は初めてだった。
正欲
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