思い出とOutputと僕と

「夜が明ける」を読み終えて

本作で初めて西加奈子を呼んだ。本来ならばきいろいゾウとかから読み始めるべきなのかもしれないが表紙のインパクトに動かされ購入していた。

本作はアキの二人を描いている。父親の死から家庭環境が荒れても負けず大学を卒業したは制作会社に入る。いつからかは優しさをもらう側になっていた。同じく家庭環境が劣悪なアキに出会うことでアキ・マケライネンとして生きる。アキは何が異なるのだろうか、やはり出会った人間だろうか、先天的なものか。

作中の遠峰と森にはハッとさせられた。強い人は恨まない、弱さの中にいるから恨んでしまう。助けてもらうことは負けではなく当然の権利の主張。彼女らは強い。果たして後ろ指を指されても自分は戦い続けることはできるのだろうか。たとえそれが権利の主張であっても、夜が明けることを信じて。また無自覚で循環しない血を流していないだろうか。

私自身、相対的に見て弱い人間だったと思うが、戦わずに恨まずにいられたのは周りの環境のおかげだと本作を通じて感じた。これからは強い人にも弱い人にもなれるはずで、弱い人を認知することも可能だ。中島さんのような、遠峰のような、森のような強い人間になろう。