「スター」を読み終えて
1つ前に読んでいた作新同様、本作も朝井リョウの一作。武道館を読んでもう少し朝井リョウの世界を体験したく、本作を手に取った。
本作は小さい頃から「質の高いものに触れろ」と育てられた尚吾と「いいと思うものは自分で選べ」と育てられた鉱の2人が大学の映像サークルで出会い、彼らが監督をした映画がアマチュアの賞を取ることから始まる。終始、尚吾と鉱は対称的な人生を生きながらも「つくること」という同じ問いを考え続ける。
タイトルだけを見ると2人がスターになる物語のように思うかもしれないが、現代においてのスターとそこへの葛藤を描いた作品だった。鉱は無料が故、広まりやすく消費されやすい環境。尚吾は有料が故、広まりづらい環境。現代では世界が細分化され比べられないものが増えているが、大事なのは世界が広がった時に胸を張って居られるか、越える気概があるか。
私は仕事でエンジニアをしているが、AIの影響で本作と同様に物を生み出すサイクルが日に日に早くなっているという感覚がある。(あるいはより早く求められる)そんな価値が測れない中で大事にしたいのは、どこまで胸を張れるのか、またそれを始めたキッカケだけではなくそれをしていた時間だな、と感じた。
