思い出とOutputと僕と

「汝、星のごとく」

前回流浪の月を読んでおり、凪良ゆうの書く物語をもう少し読みたいと感じ新しく文庫本として売られていた本作を読み始めた。
本屋大賞などの数々の賞を受賞していると事前に知っており、期待値もかなり高かった。

本作は、櫂と暁海の2人の視点で交互に描かれていく。お互いに荷物を抱え、その荷物のせいで離れてしまったりすれ違ってしまう。
櫂は自分の感情を漫画の原作として昇華することで漫画の原作者として東京にいき、いわゆる成功をするが、暁海は自分の荷物を捨てることができず島に残る。

中盤くらいからかなり読み進めるのがメンタル上しんどくなるような本作だが、その分感情移入しながらのめり込んでいった。
変わっていく櫂と何も変えられない暁海のすれ違いがかなりしんどい。
自分がかなり印象に残っているのは北原先生の「捨てるのではなく選ぶんですよ」という言葉だ。そして暁海は少しずつ現状を変えていき、自分で選べる力を持ち、最終的には選ぶ。
選ぶ力と、選ぶ意思。個人的にかなりヘビーだったが終わり方も含めてすごく良い小説だった。