思い出とOutputと僕と

「流浪の月」を読み終えて

本作も映画化で話題になり少し前に積読していたものだった。特に事前知識がないまま読み進めたが心打たれる作品だった。

物語は更紗のキラキラした幼少期から始まり、文との出会いと事件、そして文との再会という流れで、主に更紗の視点で物語が進んでいく。そして十分に更紗に感情移入した状態で文視点が描かれる。本作を読み終えた頃には優しさと愛という身近だけれど少し遠い存在について彼女らの答えが分かるだろう。自分が印象に残っているのは’事実と真実は違う’という一文だ。自分が他者に向けている優しさは本当の優しさだろうか。