思い出とOutputと僕と

「傲慢と善良」を読み終えて

本作は辻村深月の恋愛小説らしい。

二部構成になっており前半は架という30代後半の俗に言う今までモテてきた男視点で、後半はその婚約者の真実視点である。

架は30代前半までは結婚に対して否定的であったが30代後半に差し掛かる時に友人らの家族を羨ましく感じるようになった。そこから婚活を始めるが、その傲慢さがゆえ婚活が上手くいっていなかった。そんな中、真実と出会いなんとなく一緒にいるようになるが、やはり架の傲慢さから結婚を決断できずにいた。ようやく婚約をし結婚式も目前になった時に、真実が失踪してしまう。真実は20代後半まで実家ぐらしをし、親の言うことを守ってきたがゆえその善良さと自己愛の強さで婚活が難航していたが、架と出会い悩み失踪してしまったのだ。

解説にもあったが自分の決断とは何なんだろう。架は真実の行動に共感し自分自身の判断で生きていると言える人がどれだけいるだろうと思っていた。果たしてブレずに自分の決断をしたという場合でもブレないという時点で外的要因が加わっているのではないか。自分にとっても周囲にとっても良い決断とは何なんだろうか。その決断は自分の傲慢さや善良さから来る決断ではないだろうか。

難しかった。でもとても面白かった。