思い出とOutputと僕と

「鴨とアヒルのコインロッカー」を読み終えて

本作も前作に引き続き伊坂幸太郎が書いた作品である。
自分が初めて読んだ伊坂幸太郎の作品は重力ピエロである。その際も感じたが文章が非常に綺麗だと感じた。
多くの伏線だけでなく、暗喩がとても多く小説を読んでいる感があって非常に面白かった。

本作は二年前の琴美目線と現在の椎名目線が順番に描かれていく。冒頭は椎名が書店に河崎と広辞苑を盗む描写だ。そして読み進めていくにつれて、なぜ河崎は広辞苑を盗もうとしているかが分かってくる。そして二年前の琴美目線では彼女とドルジ、河崎の三人の物語が描かれる。

読み始めの自分は現在の河崎のイメージが二年前の河崎のイメージと合わず、少し読みづらいと感じていた。また椎名目線で妙に引っかかることが多いなとも感じていた。
そんな自分を置いていきつつも物語が進み、終盤にはかなり感情移入してしまった。やっぱり伊坂幸太郎はすごいなと思った。

すごく良い作品に出会えたと思う。
読み終わってすぐにこの感想を書いているくらいだ。